
ナイトレイブンカレッジの入学式クラゲの人魚とトランプ兵が出会う話
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目が覚めると、なぜか柔らかな感触が頰に伝わってきた。ぼんやりとした視界に、トレイの顔が浮かぶ。膝枕? 心臓が跳ね上がって、慌てて体を起こした。が、勢い余ってトレイもバランスを崩し、尻もちをつく。え、何これ……。
トレイは少し驚いた顔で俺を見つめ、すぐに真剣な表情になる。「ティア、どうして最近俺を避けてるんだ? 何かしたかな」その声に、胸がざわつく。避けてたのは、リドルが現れてからだ。あいつがトレイの幼なじみだって知って、嫉妬が爆発しそうで……。
無言でいると、トレイの眉が寄る。「答えろよ、ティア」静かな怒りが混じった声に、堪忍袋の緒が切れた。「お前が俺を勝手に好きにさせたくせに、いきなり知らない男と仲良くしだすからだろ! バカ! アホ!」言葉が止まらず、涙が溢れ出す。悔しくて、情けなくて。
トレイの目が細まり、にやりと笑う。安心したような、嬉しそうな顔。そっと近づいて、泣く俺の頰を拭い、突然唇を重ねてきた。温かくて、甘いキス。頭が真っ白になる。