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薄暗い路地裏を歩きながら、僕はため息をついた。今日も王宮の掃除でクタクタだ。賎民の身の上じゃ、これが僕の運命さ。ふと、遠くから馬の蹄の音が響いてきて、慌てて壁際に身を寄せる。通り過ぎるのはきっと貴族の行列だろう。ところが、馬車が急に止まり、扉が開いた。中から降りてきたのは、金色の髪を風に揺らす美しい青年。王子様だ。エリオン王子。なぜここに? 彼の視線が僕を捉え、心臓が激しく鳴る。賤民の僕に、なぜそんな優しい目で? 「君か。さっきの声は」彼の声は柔らかく、僕の名を呼ぶように響く。僕はただ立ち尽くすしかなかった。胸がざわつき、逃げ出したくなるのに、足が動かない。この出会いが、僕の人生を変える予感がした。