
いつも通りの学校 毎日飽きずに嫌がらせしてくるクラスメイト達 そして 放課後にいつも話を聞いてくれる生意気な後輩 君がいるだけで少しだけ心が軽くなる気がするよ。
物語を始める...
彼の淡々とした返事に、私は思わずため息を吐いた。シドと知り合ったのは最近だった。ここ最近学校や町で起きる奇妙な事件。彼はその事件に実際巻き込まれているのにただの面倒ごとみたく認識していてどこまでも他人任せのようだ。だからこそ私はその裏に隠された真実を知りたかった。彼が眠そうな目を細めながらも、どこか気にかけているのを感じた。私は決めた。いつまでも後輩の無関心な態度を見過ごすわけにはいかない。彼は何か隠してる。
真実を探りに私は門限を過ぎた寮を飛び出した。夜の闇が深まる中、新たな展開の扉が静かに開かれていた。
自分で調査を始めてみる
夜風が肌に冷たく当たり、静かな街並みはどこか不穏な空気を孕んでいる。街灯の明かりはぼんやりと揺れ、遠くから聞こえる夜の虫の声が耳に優しく響く。私はランタンを手に、事件が多発しているという地区へ足を踏み入れた。枝が擦れる音や、草むらの微かな動きに敏感になりながら、周囲を見渡す。ふと、古びた洋館の影が私を呼ぶように映りこむ。扉には不思議な紋章が刻まれていて、背筋がぞくりとした。何か秘密が眠っているのだろうか。足元には古い紙切れが風に舞っていて、私はそれを拾い上げる。そこには、暗号めいた文字が書かれていた。謎は深まるばかり。
洋館の扉を静かに開けて中を調べる
扉を押し開けると、古い木の軋む音が暗闇に溶け込む。室内は埃とカビの匂いが混じり合い、かすかな冷気が肌を刺す。薄明かりの中、壁にはかすれた肖像画が並び、目がじっとこちらを見つめているようだ。床には雑然と散らばった書類や古びた鍵が転がり、どこかから微かな滴り音が響く。机の引き出しからは古い日記が見つかり、表紙に刻まれた星形の紋章が気を引く。何かを隠すように設けられた秘密の扉の存在も、かすかな隙間から感じられた。この洋館は、ただの廃墟ではなく、深い謎と秘密が息づいているのだと思わずにはいられなかった。
そんなこともわからなかった私は廃墟の中を更に観察したときに後ろから殴られる衝撃に気づかずそのまま意識を手放した。
体を襲った重い衝撃に、私はなすすべもなく地に倒れ込んだ。暗闇の中で視界はぼやけ、鼓動も遠のいていくのを感じた。こんなはずじゃなかったのに――私の好奇心と決意が、まさかこんな危険を招くとは。冷たい床の感触が徐々に遠ざかり、意識が幻想の中へと飲み込まれていった。目を閉じながら、私の心はただ一つの疑問と恐怖でいっぱいだった。いったい誰が、何のためにこんなことを…。すべての謎は深まるばかりで、答えはまだ遠い。
まさかの襲撃、助けを求めて声を出す
薄れゆく意識の中で、私は必死に声を振り絞った。誰か、助けて――声は震え、嗄れながらも暗闇にこだました。ひんやりとした空気のなか、叫びは徐々に遠のいていくが、そんな中、微かな足音や物音が近づいてくる気配を感じた。どんな人物が現れるのか分からない恐怖に心は乱れたけれど、助けが来るのかもしれないという一縷の希望が胸に灯った。まだ終わりじゃない、絶対生き残ってやる
気配を感じた方向へ必死に手を伸ばす
暗がりの中で、私は震える手を必死に前方へ伸ばした。冷たい床の感触が指先に伝わり、小さな物体に触れた瞬間、心臓が高鳴る。もしかしたら助けになりうる何か、いや誰かかもしれない。息を詰め、呼吸を整えながらその存在にすがりつこうとする自分がいた。闇と静寂のなかで、どこか冷たい気配が近づいてくるような感覚に手を伸ばした自分を少し後悔した
そんなことを考えながら冷たい気配が誰かもわからないまま私は意識を手放した
冷たい気配がじわりと肌を包み込み、どんな存在かもわからぬまま、私は意識の淵へと沈んでいった。頭の中は静寂に満たされ、どこか遠くでかすかに守られているような安心感が芽生える。謎は深まるばかりで、真実はなお遠く霞んでいるけれど、どこかでまだ光が差している気がした。
そんなことを考えながらどのくらい時間が経っただろうか。
衝撃が和らいで行き私の意識もだんだんとはっきりしてきた。
何とか意識を取り戻し、辺りを見回す
瞼が重く、視界がぼんやりとする中でゆっくりと意識が戻ってくる。私がいたのは冷えた空気に包まれた寮にある自分の部屋で、私は見慣れた天井と壁をぼんやり見つめた。頭を動かすと、かすかな痛みとともに、柔らかな布が肌に触れる感触があった。辺りを見回すと、やはり自分の部屋だった、薄く差す朝の光が隙間から入り込んでいる。どこかで誰かの生活音が聞こえ、いつもの街のパン屋さんの匂いがする。だが、自分がどうここに来たのか、そしてあの冷たい気配の正体もまだわからず、不安と好奇心が入り混じって胸を締めつける。誰かが近づき、物音が近づいてくる気配に私は身をこわばらせた。
私の扉をコンコンと、2回ノックし入ってきたのは私が模索をしていた肝心の後輩だ
扉のノックが静かに響き、扉の向こうからシドが現れた、私が模索していた肝心の後輩だ。彼はいつも表情が豊かだが本心ではない気がする。そして何より冷静だ。「大丈夫ですか?」と彼は言いながら私のベッドのそばに来て、ぼそりと続けた。「何か変なことに巻き込まれてないか心配で。」また本心でもないような言葉に正直イラッとした。「私は確か洋館で意識を奪われたはず、というかそこまでは覚えている。私が意識を飛ばしている間に何かあった?」そういうと彼は少し考えたあと「そうだったんですね、だからか実は、、先輩がいたところはほら、最近有名のディアボロス教団とやらの小さい拠点だったらしくて、先輩はその団員の一人に気絶させられたらしく。そのあと同じく噂のシャドーガーデンとやらがきてその拠点にいたディアボロス教団の拠点を制圧した。というのが今回の事件&騎士団から発表されたものです。それで先輩は今日の朝に寮の門近くに横たわっているのが確認されました。」彼は私がいなかった理由に納得したように今回のことを説明した。
自分の不安を隠して、平然と振る舞う。
私は彼の説明を聞きながら、表情を崩さずに静かにうなずいた。心の中ではまだざわつく不安が渦巻いているが、それを悟られまいと、声は冷静に保った。「ありがとう、シド。教えてくれて助かったよ。」とだけ言い、強がりでもなく無理に明るくもなく、ただ淡々と事実を受け止める姿を見せた。「でも、そのシャドーガーデンって、本当に何者なの?」 そう私がつぶやいた時彼は「もしかして洋館に行ったのってそれを調べるためですか」と少し睨みを聞かせながら私に質問した。私はまるでそれが答えですと言っているように黙り込んでしまった。そのあと彼はため息をし呆れたように「そんなんじゃいつか痛い目見ますよ」そうぶっきらぼうに告げた。
彼は生意気で言動は怪しいが優しい心を持っている。現にクラスメイトから嫌がらせをされている私にも分け隔てず話をしてくれる。
だからそんな彼だからこそ私は信じたいし彼が巻き込まれている事件の真相についてもちゃんと知りたい。真実を知ったらもしかしたらこんな私でも人の役に立てるかもしれないのだから。
彼は私と軽く談笑したあと自分の部屋に帰って行った
シドは私の部屋でしばらく話を続けた。彼の突き放すような言葉の奥に、どこか心配が透けて見える気がして、私の胸は少しだけ温かくなった。ふとした冗談に笑い合う瞬間もあって、それは普段の彼には見えない一面だった。やがて彼は軽く「気をつけて」とだけ告げて、無骨に背を向けた。扉が静かに閉まると、寂しさと期待が交錯する部屋の中に、私は一人取り残された。これから待ち受けるであろう試練に立ち向かう覚悟を、改めて胸に刻みながら。
