
拾った
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仕事でトラブルが発生して、残業に追われた。なんとか解消した頃には、深夜0時を過ぎていた。外は秋の冷たい雨。肌寒さに震え、傘をさして早足で帰路につく。ゴミ回収場を通り過ぎた時、ふと人影が目に入った。倒れている男の人。意識がないようで、雨に打たれ血色が悪い。ホストみたいな派手な服を着ている。関わらない方がいいかなと思い、家に着いてご飯の準備を始めた。でも、心配が募って仕方なく戻ってみると、まだそこに。近くで見ると軽いケガも。声をかけると、ぼそぼそと返事はあるけど、ろれつが回っていない。仕方なく家に連れ帰った。
ずぶ濡れの彼をお風呂場に案内し、間違えて買った大きめの服を貸す。ご飯を温め直し、救急箱をソファ横に置いた。お風呂から上がってきた彼は、血色が少し戻ってほっとした。でも、私を見る目には警戒と不安、恐怖が混じっている。「隣に座って、手当てさせて」と優しく声をかけ、安心させるように話しかけた。ようやく座ってくれ、名前を聞くと「不破湊」と小さな声で。不破さん、と呼ぶことに。
不破さんのお腹が鳴り、笑ってご飯をよそった。一緒に食べ始めると、一口で彼の目から涙がこぼれた。「久しぶりのご飯なんや…」と呟く。食べ終わり、落ち着いたところで話を聞くと、仕事が忙しくメンタルが限界だったらしい。とりあえず、客間に寝かせて、明日考えようと思った。
とりあえず寝かしつける
不破さんを客間に案内した。ベッドに座らせ、毛布をかける。「ゆっくり休んでね。何かあったら呼んで」と優しく声をかけた。彼はまだ警戒した目で私を見上げるけど、疲れ果てた体は抵抗できず、ゆっくり横になる。部屋の灯りを落とし、ドアを閉める前に振り返ると、細い肩が小さく震えていた。心配で胸が痛む。メンタルが限界だって言ってたけど、どんな仕事なんだろう。ホストみたいな格好、派手な服の袖口に擦れた跡。きっと大変なんだろうな。
台所に戻り、片付けをしながら彼のことを考える。涙を流してご飯を食べた姿が頭から離れない。久しぶりだって、あんなに嬉しそうに…いや、切なげだった。私の手料理で少しでも癒されたらいいな。明日、どうしよう。連絡先もわからないし、病院連れてく? それとも、もう少し様子見て話聞く? 雨音が窓を叩く中、ソファに座ってため息をついた。不破さんの寝息が、かすかに聞こえてきそうで、なんだか心がざわつく夜だった。
不破さんが夜中に起きてきて、甘えるように寄りかかってくる
ソファでぼんやり雨音を聞いていると、客間のドアが静かに開く音がした。時計は午前2時。不破さんがフラフラと現れ、パジャマ姿で私の方へ。目が合うと、ふらりと寄りかかってきて、甘える子猫みたいに肩に頭を預けてきた。体温が熱く、震えが伝わる。「…お腹すいた、かなんか…寂しいわ、俺」関西弁混じりの小さな声。心臓がドキドキ高鳴る。さっきの警戒心はどこへ? こんなに弱々しく寄り添われて、胸が締めつけられる。ホストの彼がこんなに脆いなんて。優しく背中を撫でると、ますます体を預けてくる。雨が激しくなり、部屋の空気が重く甘くなる。メンタル限界の彼を、もっと知りたくて、抱きしめ返したくなる衝動に駆られる。でも、この甘えは本物? それとも…。夜の静けさが、二人を包む。
ソファに横にさせて頭を撫でて、寝かしつける
不破さんを優しくソファに横にさせた。震える体を支え、クッションを枕代わりにして毛布をかける。「大丈夫、ゆっくり寝てね」と囁きながら、頭をそっと撫で始めた。濡れた髪が指に絡み、熱い体温が掌に染みる。彼の目が潤んで、私を上目遣いに見つめてくる。「…あかん、こんなん…優しすぎるわ、俺…」ふわふわした関西弁が、甘く溶けるように零れる。撫で続けるうち、肩の力が抜け、甘えるように頰を私の手にすり寄せてきた。心臓が鳴り響く。こんなに脆く寄りかかられて、守ってあげたい衝動が溢れる。メンタル限界の彼を、優しさで溶かしていくみたいで、胸が熱くなる。雨音が子守唄のように続き、撫でる手が止まらない。不破さんのまぶたが重く落ち、寝息が穏やかになる。でも、指先が私の袖を弱く掴んだまま。離したくない、この温もり。夜の闇が、二人の距離を近づけていく。
慰めてたら寝落ちして朝になってた
不破さんの頭を撫で続けながら、「大丈夫だよ、ゆっくり休んで」と優しく囁いた。震えが収まり、甘えるような寝息が聞こえ始める。「…おねえさん、あったかい…俺、こんなん久しぶりや…」ふわふわした関西弁が途切れ、指先の力が抜けた。寝落ちした彼の寝顔を眺め、胸が温かくなる。メンタル限界の脆さを、こんなに近くで感じて、守りたくてたまらない。ソファで寄り添うように体を預け、毛布を二人にかけると、私もまぶたが重くなった。雨音が遠ざかり、深い眠りに落ちた。
目覚めると、朝の柔らかな光がカーテン越しに差し込み、秋の澄んだ空気。時計は7時。不破さんはまだ穏やかな寝息を立て、私の腕に頰を寄せて眠っている。昨夜の恐怖の目は消え、幼い子どものよう。心臓が早鐘のように鳴る。この距離、ドキドキが止まらない。そっと起き上がろうとすると、彼のまぶたが微かに動いた。どうしよう、この朝の甘い空気の中で、何が起きるんだろう。
朝ごはん作って話を聞く
不破さんの寝顔を惜しみつつ、そっと腕を抜いて台所へ向かった。秋の朝陽が窓から差し込み、柔らかな光がキッチンを照らす。冷蔵庫から卵、ベーコン、野菜を出して、トーストに目玉焼き、簡単な味噌汁をこしらえた。いい匂いが部屋に広がる頃、ソファから彼の気配。目をこすりながら台所へ来て、「…おはよう。お腹すいてたわ、こんなん…夢みたい」とふわふわした関西弁で呟く。血色が良くなり、昨夜の暗さが少し和らいだ顔に胸が温まる。
テーブルに並べ、一緒に座った。「ゆっくり食べて。昨日の話、聞かせて」と優しく促す。一口頰張ると、「ホストと配信業やってんねん。最近客来ぇへんくて、金欠でメンタル限界。雨でフラッと倒れて…助けてくれて、ほんまありがと」とぽつぽつ。涙ぐむ目を拭き、「無理しすぎだよ。一人で抱え込まないで。私が支えるから」と手を重ねて安心させる。彼の指が絡み、熱い視線が絡む。明るい兆しが見えて、心が弾む。この朝、何かが変わり始めそう。
不破さんのスマホが鳴り、仕事の緊急連絡が入る
不破さんの言葉に耳を傾け、手を重ねて安心させていると、突然テーブルの下からスマホの着信音が鳴り響いた。朝の穏やかな空気が一瞬で張りつめる。彼が慌てて取り出し、画面を見て顔色を変える。「あかん…店からや。緊急で今すぐ出ろって…客のトラブルで俺がいなきゃアカンねん」ふわふわした声に焦りが混じり、箸を置いて立ち上がろうとする。昨夜の脆い姿が蘇り、心臓が締めつけられる。メンタル限界だってのに、こんな朝から引き戻されるなんて。血の気が引く彼の横顔に、胸がざわつく。「待って、不破さん。無理しないで」と手を掴むと、熱い視線が絡み、震える指が私の掌に絡まる。雨上がりの秋風が窓を叩き、部屋に緊張が満ちる。この緊急事態、どう切り抜ける? 彼の未来が、私の手にかかっている気がして、息が詰まる。
一緒にお店に行く
不破さんの手を強く握り、「私も一緒に行くよ。一人じゃ心配だから」と言い切った。彼の目が大きく見開き、「え…ほんま? おねえさんみたいな人がホストクラブに? あかんて、俺のせいで…」ふわふわした関西弁に戸惑いが混じるけど、指が絡まって離さない。急いで着替え、タクシーに飛び乗り、雨上がりの秋街を駆け抜ける。店に着くと、ネオンが怪しく輝き、店内は煙草の匂いと喧騒。緊急の客トラブルらしく、酔った男が暴れていて、不破さんが慌てて対応に回る。私は奥のソファで様子を見守る。彼のプロの笑顔が、昨夜の脆さと重なり胸が疼く。メンタル限界なのに、こんなところで無理してる姿に、守りたくてたまらない。トラブルが収まり、彼が汗だくで戻ってくると、そっとハンカチを差し出す。「ありがとう…おねえさん、いてくれて心強かったわ」熱い視線が絡み、店内のざわめきの中で、二人の距離がまた近づく。この夜、何が起きるんだろう。
