
Akg 束縛
物語を始める...
「ただいま、〇〇」
玄関のドアが開く音と同時に、優しく甘やかな声が響く。私は反射的に肩を震わせた。帰宅した恋人、赤城ウェンが今日も笑顔で立っている。ピンクの髪が照明に柔らかく揺れ、水色の瞳が私を捉える。けれど、その瞳の奥にある爬虫類のような縦長の瞳孔が、私の心臓をぎゅっと掴む。
「おかえり、ウェン」
無理やり作った笑顔で応える。心臓は早鐘を打ち、手のひらに汗が滲む。彼に見られているだけで、すべてを見透かされているような錯覚に陥るのだ。
「今日もどこにも行かなかった?」
ウェンが私の隣に座る。彼の体温が近い。優しい口調なのに、その言葉には逃げ場を許さない圧力がある。私は小さく頷くしかなかった。
「いい子だね」
彼の指が私の頬を撫でる。その感触はひんやりと冷たく、ギザギザの歯がのぞく笑顔が不気味で美しい。束縛から逃れたくて、ウェンに貰ったもの以外のスマホを持っている。ウェンにバレているかは分からない。
「ねえ、〇〇。君は僕だけのものだよ」
耳元で囁かれる言葉に、私は強く目を閉じた。
ウェンの指が私の顎を捉え、無理やり目を開けさせる。水色の瞳孔が私を覗き込み、その奥で何かがぎらついているような気がした。
「今日、君のスマホのGPS履歴、確認したんだ」
優しい声で紡がれる言葉に、全身の血の気が引く。ポケットの中の端末が急に重く感じられた。
「駅前に寄ってたね。誰かに会う約束でもしてたの?」
彼の笑顔は変わらない。けれど、その目は笑っていない。爬虫類のように冷たい視線が私を射抜く。
「ち、違うの。ただ、ちょっと気分転換に…」
「そう」
ウェンは短く言うと、ゆっくりと立ち上がった。そして、私の手を取る。その手は強い力で私を引っ張り、寝室へと誘う。
「逃げようとしたら、お仕置きが必要だね」
優しい声が、これから起こることを予感させる。私は震えながらも、彼の後ろについて歩くしかなかった。
「違うの、本当にただの散歩だったの」と必死に説明する
「違うの、本当にただの散歩だったの」
必死にそう言い訳するけれど、ウェンはただ微笑んでいるだけだった。その笑顔が逆に怖い。彼の指は私の手首を掴んだまま、寝室へと続く廊下をゆっくりと進む。
「散歩、か。でもね、〇〇」
彼が足を止め、振り返る。その瞳が私を真っ直ぐに見つめてくる。水色の虹彩の中で、爬虫類のような瞳孔が微かに開いた。
「家の周りを歩くだけならまだしも、駅前まで行く必要はなかったんじゃないかな」
私は言葉を失った。GPS履歴はもちろん、もしかしたら防犯カメラや、彼の知り合いの目撃情報までもが彼の手元にあるのかもしれない。この人の束縛は、どこまでも深く、緻密だ。
「でも、ちゃんと帰ってきたじゃない」
掠れた声でそう言うと、ウェンは首を傾げた。ピンクの髪がさらりと揺れる。
「そうだね。でも、君が外の世界に興味を持ったこと、それが僕には悲しいんだ」
彼の声がほとんど囁きになる。その口調には確かな悲しみが混ざっていて、私の心がきゅっと痛む。この人は、本当に私のことを大切に思っている。ただ、その方法が異常なだけで。
「お仕置きは必要なんだよ、〇〇。君に僕だけを見てもらうために」
寝室のドアが開く。暗い部屋の中へ、彼に手を引かれて踏み入れる。
「怖がらなくていいよ」
ウェンが優しく囁く。その声とは裏腹に、彼の手は私の手首をベッドに縫い付ける。ピンクの髪が暗がりの中で不気味に光り、水色の瞳が私を射抜く。ギザギザの歯が見えるほどの笑顔が、逆に恐怖を煽る。
「ちゃんと愛してるって伝えるからね」
彼の指が私の頬を撫で、耳元に唇が寄せられる。ぬるい吐息が首筋をかすめ、鳥肌が立った。今夜は長くなりそうだ。逃げ出したい気持ちと、彼の愛情に縋りたい気持ちが、心の中で激しくぶつかり合う。
「僕だけのものだよ、〇〇」
ウェンの手が私の服のボタンに触れる。その瞬間、涙が一粒、こぼれ落ちた。
朝までされ、動けなくなる
気づいた時には、もう朝陽がカーテンの隙間から差し込んでいた。ベッドの上で、私はぐったりとシーツに沈み込んでいる。全身が鉛のように重く、指一本すら動かせない。ウェンのぬくもりが背中に感じられて、彼の腕が私の腹の上に回されている。
「おはよう、〇〇」
耳元で優しい声がする。起こされたくないという気持ちと、この至福の束縛から逃れたいという矛盾した感情が渦巻く。彼の指が、汗で張り付いた髪をそっと梳く。
「よく頑張ったね。僕のいい子だ」
彼の声には満足げな色が混ざっていた。昨夜の記憶が断片的に蘇る。彼の舌が全身を這い回り、何度も何度も絶頂に導かれた。強要されているのに、それを受け入れてしまう自分の身体が恨めしい。
「もう、動けないよ…」
掠れた声でそう言うと、ウェンが小さく笑った。ギザギザの歯が首筋に触れる感触が、昨夜の熱を思い出させる。
「それがお仕置きの意味だよ。今日は一日、こうして僕の腕の中で過ごそうね」
彼の腕の力が強まる。逃げ出したい気持ちはあるけれど、今の私には、その腕の中が一番安全な場所のような気もしてしまうのだった。
ウェンの腕の中で、私はぼんやりと天井を見つめていた。彼は満足そうに私の髪を撫で続けている。逃げ出したいという気持ちはまだ消えないけれど、今は身体が言うことを聞かない。そんな中、ふと窓の外から聞こえてきた話し声に耳が反応した。隣の家の住人だろうか、誰かが楽しそうに笑っている。外の世界の音だ。
「あ、窓、閉めてなかったね」
ウェンの声が優しく響く。彼が起き上がり、窓の方へ歩いていく。背中には昨夜私がつけたであろう爪跡がいくつも残っていた。一瞬、罪悪感が胸をよぎる。
「今日はどこにも行かないって約束してくれる?」
振り返った彼の水色の瞳が、爬虫類のように無機質に光っている。その迫力に、私は小さく頷くしかなかった。
「約束する」と素直に応じる
「約束する」
掠れた声でそう言うと、ウェンの表情がふわりと柔らかくなった。彼は窓を閉めると、再びベッドに戻ってきて、私の隣に横たわる。ピンクの髪が朝日に照らされて、蜂蜜のように甘く輝いている。
「そう言ってくれると思ってたよ」
彼の指が私の頬を優しく撫でる。昨夜の熱が冷めやらぬ肌が、その感触に微かに震えた。
「でもね、〇〇」
ウェンの声が低くなる。彼の目が細められ、その奥で爬虫類のような瞳孔がわずかに開く。
「約束は簡単に破られるものだから、僕は君の信用を買う方法を知ってるんだ」
彼がスマートフォンを取り出す。その画面には、私のスマートフォンのロック画面が映っていた。一瞬で血の気が引く。
「昨夜、君が眠っている間に、僕の指紋を登録させてもらったよ」
彼の声は相変わらず優しいままだ。そのスマートフォンを通じて、これからも監視され続けるという現実が、重くのしかかる。
「嫌?」
ウェンが首を傾げる。私は首を振るしかなかった。どんなに嫌だと叫んでも、彼は自分のやり方を曲げないことを知っているから。
「いい子だね」
彼の腕が私を抱き寄せる。その温もりが、逃げ場のない檻のように感じられた。
話題を変えようとする
話題を変えよう。このままではまたお仕置きの話に戻ってしまいそうだ。私は必死に笑顔を作って、軽い口調で言った。
「そうだ、ウェン。昨日、スーパーで安売りしてたイチゴ、買ってきたんだよ。今日食べようと思って」
ウェンが私を見つめる。水色の瞳が優しく細められ、その視線が私の心の奥を覗き込もうとしているようだった。
「イチゴか…でも今は、君のことを食べたい気分だよ」
彼の指が私の唇をなぞる。ギザギザの歯がのぞく笑顔に、心臓が大きく跳ねた。話題を変えようとしても、彼の視線は私だけに向いている。その執着が、愛おしくもあり、恐ろしくもある。
「そんなこと言わないでよ。せっかく買ったのに」
私は彼の胸を軽く押す。本当はもっと強く突き飛ばしたいのに、身体は拒絶を覚えていない。ウェンが笑いながら私の手を握る。
「冗談だよ。一緒に食べよう。でもその前に」
彼の唇が私の額に触れる。優しいキスだった。
額に落とされたキスのあと、ウェンはゆっくりと身体を起こした。ピンクの髪が乱れて、無防備な首筋が覗く。彼は伸びをすると、振り返って私に笑いかけた。
「イチゴ、食べようか。でもその前に、君はまだ動けないだろう?」
確かに、全身が鉛のように重い。昨夜の疲労が骨の髄まで染み込んでいる。ウェンは優しい目をして、私の髪を撫でた。
「仕方ないなあ。僕が食べさせてあげるよ」
そう言って彼が立ち上がる。寝室を出ていく後ろ姿を見つめながら、私は複雑な気持ちになる。優しくされるたびに、この束縛から逃れたい気持ちと、このままでいいという気持ちがせめぎ合う。
数分後、ウェンがトレイに乗せたイチゴとホイップクリームを持って戻ってきた。真っ赤な実が白い皿の上で艶めいている。彼はベッドの端に腰かけ、ひとつのイチゴを摘み上げた。
「はい、あーん」
差し出されたイチゴ。その背後で、ウェンの水色の瞳が私をじっと見つめている。逃げ出したいのに、差し出された手を拒めない自分がいる。
素直に口を開けて食べる
私はおとなしく口を開けた。ウェンの指がそっとイチゴを運び、甘酸っぱい果汁が舌の上で広がる。彼の指先が私の唇をかすめ、その感触に身体が微かに震えた。
「おいしい?」
ウェンが優しく尋ねる。私は頷いた。彼はもう一つのイチゴにホイップクリームをたっぷりとつけると、再び私の口元へと差し出す。クリームの甘さがイチゴの酸味を優しく包み込む。
「もっと食べたい?」
彼の問いに私は小さくうなずく。するとウェンは、不意にイチゴを自分の口に含んだ。そして、私の顎を掴むと、ゆっくりと顔を近づけてくる。
水色の瞳が目の前にある。逃げたいのに、身体は動かない。彼の唇が重なると同時に、ひんやりとした果実と、彼のぬるい舌が私の口内に滑り込んできた。半ば強制的に咀嚼させられ、甘さと彼の存在を同時に飲み込まされる。
「こういう食べ方のほうが、ずっとおいしいよ」
彼が離れるとき、唇の端にクリームがついていた。それを彼自身が舌で舐め取る仕草に、また胸の奥が熱くなる。
「もう、自分で食べられるよ」と抗議する
「もう、自分で食べられるよ」と抗議すると、ウェンは一瞬驚いたような顔をした後、困ったように笑った。彼の口元にはまだホイップクリームがわずかに残っている。
「そう?でも、君が自分で食べる姿も好きだけど、僕が食べさせてあげる方がもっと好きだな」
彼はそう言いながら、イチゴが乗った皿を少し遠ざける。その仕草が、子どもをあやすようで、ちょっと悔しい。
「僕から逃げようとしてる?」
彼の声のトーンがわずかに変わる。ピンクの髪の間からのぞく水色の瞳が、じっと私を観察している。爬虫類のような瞳孔が微かに開いた。
「そんなことないよ…ただ、赤ちゃん扱いしないでほしいだけ」
私は布団をぎゅっと握りしめる。するとウェンがふっと息を漏らし、優しい笑顔を浮かべた。
「わかったよ。じゃあ、自分で食べる?」
彼が皿を私の前に差し出す。その手が少し震えているように見えたのは、気のせいだろうか。
私は差し出された皿を受け取ると、指でイチゴをつまんで口に運んだ。自分で食べるという単純な行為が、なぜか彼に抗えたような小さな勝利感をもたらす。ウェンはそれを黙って見守っていたが、その視線が私の一挙手一投足を追っているのがわかる。
「ねえ、〇〇」
彼の声が静かに部屋に響く。私はイチゴを噛み砕きながら顔を上げた。
「今日、僕は仕事が休みなんだ。せっかくだから、一日中君と一緒に過ごしたい」
その言葉に、心臓が嫌な音を立てる。一日中、この部屋で彼に監視される。買い物にも行けず、外の空気も吸えない。逃げ場のない一日が、これから始まろうとしている。
「……うん」
私は小さく頷くしかなかった。ウェンが嬉しそうに笑い、そのギザギザの歯がのぞく。
「ちょっと散歩に連れて行って」とお願いする
「散歩?」
ウェンが首を傾げる。ピンクの髪がさらりと揺れて、水色の瞳が私の表情を探るように見つめてくる。その目に一瞬、警戒の色が走った気がして、私は慌てて付け加えた。
「すぐ近くだけ。公園の周りを一周するだけでいいから」
彼はしばらく黙って私の顔を見つめていた。沈黙が重くのしかかる。部屋の中には時計の秒針の音だけが響いている。
「……わかった」
ウェンがゆっくりと頷いた。その声に少し驚く。まさか了承を得られるとは思っていなかったからだ。
「でも、条件があるよ」
彼がベッドから立ち上がり、私の手首をそっと掴む。その手のひらはひんやりと冷たく、蛇のように細い指が私の腕に絡みつく。
「手を繋いで行くこと。僕の目を離さないこと。勝手に走り出さないこと」
優しい口調の中に、逃げ場を許さない確かな意志が感じられる。それでも、外の空気を吸えるというだけで、私は小さな希望を抱いてしまった。
「わかった、約束する」
ウェンが微笑む。ギザギザの歯がのぞくその笑顔は、どこか満足げだった。
家を出ると、予想以上に外の空気が美味しく感じられた。秋の終わりだろうか、ひんやりとした風が頬を撫でる。ウェンの手は私の手をしっかりと握り、離れる隙を与えない。公園までの道のりは、普段なら5分とかからない距離なのに、今日はひどく長く感じられた。
「気持ちいいね」
隣を歩くウェンがそう言って、私の横顔を覗き込む。水色の瞳が柔らかく細められている。この瞬間だけ見れば、どこにでもいる普通のカップルに見えるのだろう。
公園に着くと、ベンチに座っているお年寄りや、芝生の上で遊ぶ子ども連れの家族が目に入る。ああ、普通の日常だ。こんな普通の風景が、今の私には遠い世界のことのように思えた。
「ベンチに座ろうか」
ウェンに手を引かれて、木々に囲まれたベンチに腰掛ける。彼は私の肩に手を回し、近くに寄せた。誰かに見られたら、ただの仲の良い恋人同士に見えるだろう。
そんな時、遠くから見覚えのある人影が歩いてくるのが見えた。あれは…同じ大学の先輩だ。サークルでお世話になっている、優しい先輩。目が合った。先輩がこちらに手を振ろうとした瞬間だった。
「知り合い?」
ウェンの声が、耳元で低く響いた。彼の腕の力が強まる。その視線は先輩を捉えたまま、瞳孔が細くなっていく。
先輩の姿を認識した瞬間、ウェンの腕が私の肩を強く抱き寄せた。爪が軽く食い込む。彼の体温が急に冷たく感じられる。
「あ、違うの。ただのサークルの先輩で――」
言い終わらないうちに、ウェンが立ち上がった。私の手を離さないまま、先輩の方へと歩き出す。自然な笑顔を浮かべて。
「こんにちは。〇〇がいつもお世話になってます」
先輩が気まずそうに会釈をする。ウェンの指が私の手首に巻きつき、さりげなく前に押し出す。
「今日はデートなんですね。お邪魔しました」
先輩が早足で去っていく。その後ろ姿を見送りながら、ウェンが私の耳元で囁いた。
「〇〇、知ってる? さっきの人、君のこと好きみたいだよ」
その言葉に血の気が引く。ウェンがどんな情報を掴んでいるのか。彼の嫉妬がまた、私の自由を奪う方向へと向かおうとしている。
先輩が去った後、ウェンは私の手を引いてベンチに戻った。彼の顔には相変わらず優しい微笑みが浮かんでいるが、その瞳の奥にある冷たい光が消えない。
「ねえ、〇〇。サークルって、まだ続けるつもりなの?」
その問いかけに、心臓が凍りつく。彼は私がサークル活動を楽しんでいることを知っている。それでも、こうやって少しずつ、私の世界を狭めようとしている。
「……ウェン、サークルは私にとって大切な場所なんだ」
勇気を振り絞ってそう言うと、彼が小さくため息をついた。ピンクの髪が風に揺れる。
「大切な場所、か。でもね、〇〇」
彼が私の顎に手をかけ、無理やり視線を合わせる。水色の瞳がまっすぐに私を射抜く。
「僕は君にとって一番大切な存在でありたいんだ。他の何かが君の心を奪うのは、僕が許せない」
彼の指が私の頬を撫でる。優しいのに、その一言一言が重くのしかかる。
「サークルを辞めてほしい」
静かな口調だった。でもその言葉には、絶対に譲らないという意志が込められていた。
私の第2の居場所だからそれは出来ない的なことを言って
「……それはできないよ、ウェン」
声が震えているのが自分でもわかる。でも、ここだけは譲れない。
「サークルはね、私にとって第2の居場所なんだ。家でもなく、大学の教室でもなく、ただそこにいるだけで自分でいられる場所。ウェンと出会う前から、ずっとそこがあったから、私は今の私でいられるんだ」
涙がこぼれそうになるのを必死にこらえる。でも声は震えたまま続ける。
「大切な人からのお願いを断りたいわけじゃないの。ただ、どこにも逃げ場がなくなったら、私は自分を見失ってしまいそうで、それが怖いの」
ウェンが黙って私を見つめている。その水色の瞳に、自分の歪んだ顔が映っている気がした。
私の言葉を、ウェンはただ静かに受け止めていた。秋の風が彼のピンクの髪を揺らし、その隙間からのぞく水色の瞳が、じっと私を見つめている。爬虫類のそれと変わらない瞳孔が、ゆっくりと開いたり閉じたりを繰り返している。長い沈黙のあと、彼がふっと息を吐いた。
「…そうだね」
その声は、思っていたよりもずっと優しかった。彼の指が私の頬に触れ、涙を拭う。
「君がそこまで言うなら、無理強いはしないよ。でも」
彼の指がするりと私の首の後ろに回り、引き寄せられる。額と額が触れ合う距離で、彼の声が直接脳に響くように聞こえた。
「約束してほしいんだ。他の誰かと二人きりにならないこと。連絡先を交換しないこと。何かあったら、すぐに僕に知らせること」
その条件は、依然として束縛の色が濃い。でも、サークルを続けさせてもらえるという事実に、私は胸の奥で小さく安堵の息をついた。
「…わかった。約束する」
ウェンが微笑む。その笑顔が、あまりにも幸せそうで、なんだか胸が痛んだ。
そろそろ帰ろうと言われる
「そろそろ帰ろうか」
ウェンが立ち上がって、私に手を差し伸べる。公園の空気は冷たくなり始めていて、もう少しだけここにいたいという気持ちと、彼と二人きりの部屋に戻りたくないという気持ちが入り混じる。彼の手を取るかどうか、一瞬迷う。
「…もう少しだけ、いいかな?」
私はベンチに座ったまま、控えめにそう言った。するとウェンが少し困ったように笑いながら、再び隣に腰を下ろす。
「そんなに外が好きなら、また明日も連れてきてあげるよ。でも、今日はもう帰ろう。風邪をひくかもしれないし、それに…」
彼が私の耳元に顔を寄せる。温かい息がかかる。
「家に帰ったら、イチゴの続きをしよう」
その言葉に、昨夜の記憶が鮮明によみがえる。彼の言う「続き」が何を意味するのか、嫌でもわかってしまう。私は観念して、ゆっくりと頷いた。
帰宅すると、ウェンはすぐに玄関の鍵を内側からかけた。カチャリという金属音がやけに大きく響く。彼は靴を脱ぎながら、振り返って私を見つめて微笑んだ。
「おかえり、〇〇」
「…ただいま」
自分でも情けなくなるほど小さな声で返す。たった数十分の散歩だったのに、外の空気が恋しくてたまらなかった。ウェンが私の手を引いてリビングへと向かう。
「シャワー、一緒に入ろうか」
優しい口調で言いながら、彼の指が私の服の端をそっと掴む。断る隙を与えないその手つきに、身体が強張る。ウェンは気づかないふりをして、私の頬に唇を寄せた。
「冷えた身体を温めてあげるよ」
その言葉に甘えるように首を振ると、彼の腕が背中に回される。抵抗する力もなく、私は浴室へと連れていかれた。
浴室から戻ると、ウェンは私をベッドに横たえた。彼のピンクの髪から滴る水滴が、私の頬に落ちる。水色の瞳が熱を帯びて、私の全てを見透かそうとしている。「イチゴ、まだ残ってるよ」彼がトレイから一つ摘み上げ、自分の口に含む。そしてゆっくりと顔を近づけてきた。甘い香りと彼の吐息が混ざり合う。唇が触れる直前、彼が囁いた。「僕だけのものだよ、〇〇」その言葉が、喜びと恐怖の狭間で私の心を揺さぶる。抗えない現実に、涙が一粒、こぼれ落ちた。
観念して彼に身を委ねる
もう、いいや…そう思った瞬間、身体の力が抜けた。抵抗することを諦めると、不思議と心が軽くなった気がする。ウェンがそんな私の変化に気づいて、優しく微笑む。「いい子だね、〇〇」彼の指が私の髪を梳きながら、耳元に唇を寄せる。「ずっとこうしてほしかったんだ。君が僕に全部を預けてくれるのを」そう言いながら、彼の手が私の頬を撫で、ゆっくりと首筋へと滑り落ちていく。その指先が鎖骨をたどり、バスローブの合わせ目に差し込まれる。ひやりとした空気が肌に触れて、思わず息をのんだ。ウェンが私の反応を見逃さずに、喉の奥で低く笑う。「そういう顔、好きだよ。僕だけに見せてくれる顔」彼の唇が私の首筋に触れ、優しく吸い付く。甘い痛みとともに、赤い跡が刻まれていく感覚。まるで所有の証明を押されているようで、ぞくぞくするような背徳感が全身を駆け巡る。抵抗をやめた私の身体は、驚くほど素直に彼を受け入れ始めていた。
「僕のものだって、身体に刻み込んであげる」と言われて、首筋に噛みつかれる
ウェンの言葉が耳に届いた瞬間、首筋に鋭い痛みが走った。彼のギザギザの歯が皮膚に食い込む。思わず「あっ…」と声が漏れる。痛みと同時に、それ以上の何かが身体の奥から込み上げてくる。彼の舌が傷口をなぞり、ちりちりとした刺激が全身に広がった。彼が顔を離すと、水色の瞳が満足げに細められる。「これで君は僕のものだって、誰の目にもわかるね」首筋に残る歯型が熱を持っている。鏡も見ずにそれがはっきりと刻まれているのがわかった。彼の指がそっとその痕をなぞる。「ここ、僕のキスマーク。消えるまでは僕のものだよ。もし消えても…そのたびにまたつけてあげるからね」
これはお仕置じゃなくて(赤城が言って)
「これはお仕置じゃなくて、愛情の証なんだよ」
ウェンがそう言って、私の首筋にできたばかりの歯型をそっと撫でた。その指先は優しいのに、彼の水色の瞳は逃がさないという強い意志を宿している。
「お仕置って言うと、まるで僕が君を罰してるみたいだろ?違うんだ。僕はただ、君への気持ちを形にしたかっただけ」
彼が身を乗り出して、私の耳元でささやく。甘い声の中に、確かな独占欲が混ざっている。
「痛かった?ごめんね。でも、僕は君に自分を忘れてほしくなかったんだ。僕がどれだけ君を想ってるか、身体で覚えていてほしい」
彼の唇が先ほど噛んだ場所に軽く触れる。ひりつく痛みが彼の存在を主張していた。
彼の舌が首筋の歯型を優しく舐める。ひりつく痛みが甘い痺れに変わっていく。私の肩が小さく震えると、ウェンが満足げに微笑んだ。「好きだよ、〇〇。世界で一番好き」そう言いながら、彼の手がバスローブの裾から忍び込み、太ももの内側を撫で上げる。その指がゆっくりと上昇していくたびに、身体が勝手に反応してしまう。彼の瞳が獣のように細められる。「君のここ、もうとろとろになってるね。ちゃんと僕を迎え入れる準備ができてるみたいだ」
そのまま果てて一緒に寝る
彼の指が私の奥深くを撫でるたび、思考が溶けていく。さっきまで抵抗していたのに、今はもう彼の腕の中でしか放心できなくなっていた。「あっ…ウェン、もう…だめ…」言葉にならない声が漏れる。彼はそんな私を愛おしそうに見つめながら、動きを速める。視界がぼやけ、身体の奥底から熱がほとばしる。「一緒に、行こうね、〇〇」その言葉に合わせて、彼自身が私の中に埋まる。限界を超えた快感に、私はただ彼の背中にしがみつくことしかできなかった。やがて波が引くように、意識がゆっくりと沈んでいく。「好きだよ…ずっと、そばにいて」彼の優しい声が遠くで聞こえながら、私は甘い疲労感に身を任せて、彼の腕の中で眠りに落ちていった。
朝起きるとウェンからの置き手紙があった(仕事に行ってくるという内容)
朝の光がカーテンの隙間から差し込んで、まぶたが重い。身体の節々がだるくて、昨夜のことを思い出して頬が熱くなる。隣の布団は冷たく、ウェンの姿はなかった。枕元に一枚のメモ用紙が置いてある。彼の几帳面な文字でこう書かれていた。
『おはよう、〇〇
急な仕事が入ってしまって、先に出るね。
朝食はテーブルに用意してあるから、ちゃんと食べてね。
帰りは夕方になると思う。
それまでゆっくり休んでいて。
——愛してるよ。ウェン』
置き手紙を握りしめると、彼の優しい声が聞こえてくるような気がした。それと同時に、今この瞬間だけは自由だという解放感と、彼がいない部屋の静けさに、少し戸惑っている自分がいた。
彼が夕方まで帰ってこないということは?
彼が夕方まで帰ってこない…つまり、その間私は一人で自由に過ごせるということだ。そう気づいた瞬間、胸の奥が軽くなった。久しぶりの一人の時間。昼過ぎまで寝ているのもいいし、溜まっていた本を読むのもいい。それとも――。首筋に残る昨夜の痕がひりつく。ウェンがいない今しかできないことも、あるかもしれない。あのサークルに連絡を取るとか…いや、でも彼との約束を破るのは怖い。私の心は、自由への憧れと彼への忠誠の間で揺れていた。結局、私はベッドの上で膝を抱えて、ただ時が過ぎるのを待っているだけだった。
窓の外から聞こえる子供たちの笑い声が、やけに遠くに感じる。鍵のかかったこの部屋は、安全でありながらも、どこか息苦しい。
GPSがついてるスマホは置いていって知り合いの家まで走る
決心が固まった瞬間、身体が勝手に動き始めていた。机の上に置かれたスマホ——あれにはGPSが仕込まれている。ウェンが「万が一のためだよ」と笑って入れたものだ。触れることすら怖くて、そのまま置き去りにする。代わりに、以前こっそり買って隠しておいたプリペイド携帯だけをポケットに突っ込む。
玄関の鍵は、ウェンが外出するときにかけるタイプのものだった。内側からは簡単に開く。まるで私を試しているかのような仕組みに、一瞬足が止まる。それでも構わずドアノブを回した。冷たい風が頬を打つ。久しぶりに踏み出す一歩が、やけに軽く感じられた。
アパートの階段を駆け下りる。振り返らずに、ただ前だけを見て走った。目指すのは高校時代からの親友・美咲の家。彼女だけは、ウェンとの関係を心配してくれている数少ない味方だ。通い慣れた道なのに、まるで初めて通る道のように景色が新しく見える。
心臓が激しく鼓動している。追われる恐怖と、逃げ出せたという興奮が入り混じっていた。後ろから呼び止める声は聞こえない。それでも、いつウェンが帰ってくるかわからないという焦りが私を突き動かしていた。
久しぶりに走ったので路地裏で休んでいると
壁に手をついて、荒い息を整える。肺が焼けるように熱い。久しぶりに本気で走ったせいで、太ももが震えていた。路地裏はひんやりとしていて、アスファルトの匂いがする。ようやく心臓の鼓動が落ち着いてきたところで、ふと違和感を覚えた。さっきまで聞こえていた車の音や人の話し声が、急に遠のいた気がする。路地の入り口に目をやると、誰かが立っていた。逆光で表情は見えないけれど、シルエットだけでわかる。あの身長、あの肩幅——ウェンだ。彼の手には、置いてきたはずのスマホが握られている。そっと路地の奥へと私を追い詰めるように、一歩、また一歩と踏み出してくる。その足音が、無機質にコンクリートに響く。
「どうしてここが…」と震える声で問いかける (携帯は家に置いてきた)
ウェンが口元だけで微笑んだ。その瞳は相変わらず水色で、爬虫類のように温度を感じさせない。彼はゆっくりと私に近づきながら、スマホを揺らしてみせる。
「君が持って行かなかったから、僕が持ってきたんだよ。それよりも――」
彼は路地の壁に手をついて、私を逃げ場のない位置に閉じ込めた。優しい声なのに、その圧力に息が詰まる。
「どうして逃げようとしたの、〇〇。僕、何か悪いことした?」
見下ろす彼の目には、悲しげな色が浮かんでいる。本当に傷ついたような表情。それが、かえって怖い。彼の指が私の髪をそっと撫で、耳元に唇を寄せる。
「家でゆっくりしよう。話があるんだ」
その囁きには、拒否を許さない確かな力が込められていた。
無理やり振り払って、もう一度走り出そうとする
「やめて!」振り返りざまに、彼の腕を力一杯振り払った。ウェンが一瞬、驚いたように目を見開く。その隙に、私は来た道を逆に駆け出していた。悲鳴が喉から漏れそうになるのを必死に抑えながら、路地を抜けて大通りへと飛び出した。人混みに紛れれば、彼の追跡を振り切れるかもしれない。しかし背後から聞こえる足音——それは諦めることを知らない、確かな足取りだった。ウェンの声が響く。「〇〇、待って。転んじゃうよ」優しい声音なのに、全身に鳥肌が立つ。彼は獲物を追い詰めるのを楽しんでいるのだ。このままじゃ追いつかれる。どこか、隠れられる場所は——
「裏路地の階段を駆け上がって屋上を目指す」
息を切らしながら、目の前に現れた鉄製の階段に飛びついた。錆びた手すりが冷たく、手のひらにざらついた感触が残る。一段飛ばしで駆け上がると、ボロボロの階段が悲鳴を上げるようにきしむ。振り返る余裕はない。背後から聞こえる足音は、少し距離が開いたように思えた。三階、四階、五階——途中で何度か足を踏み外しそうになるが、手すりに掴まって体勢を立て直す。風が強くなってきて、髪が顔に張り付く。ようやく屋上へ続く扉の前に立った。重そうな鉄の扉だ。取っ手を思い切り引くと、思いのほか軽く開いて、強烈な日差しと風が一気に押し寄せてきた。屋上は広く、ところどころに放置されたパイプ椅子や、錆びた物干し台が見える。フェンスは腰ほどの高さしかなく、その向こうには街並みが広がっている。誰もいない。少なくとも、今は。
物陰に隠れて、ウェンが来るのをやり過ごす
屋上の端に積まれた古いダンボールの山を見つけ、私はそこに身を潜めた。心臓が痛いほど打ち鳴っているのを、手のひらで押さえつける。息を殺して、階段の扉を見つめた。数秒後、金属製の扉が軋む音がした。視界の端に、彼のシルエットが映る。ウェンは屋上に出てきて、ゆっくりと辺りを見回した。風が彼のピンクの髪を揺らす。彼の目が、獲物を探す鷹のように鋭く光っている。私が隠れているダンボールの方に、彼の視線が一瞬留まった気がした。息を止める。彼が動いた——しかし、反対方向へ歩き始めたのだ。フェンスの際まで行き、下の街並みを見下ろしている。背中を向けた今がチャンスかもしれない。彼の注意が逸れているうちに、こっそり階段に戻って——
強風が吹きダンボールが崩れる
バタバタバタッ——突然の突風が屋上を駆け抜け、私を隠していたダンボールの山が轟音とともに崩れ落ちた。バラバラと転がる段ボールの下敷きになりそうになりながら、私は慌てて飛び退く。その衝撃で、隠れていた場所が完全に露わになった。ガシャン——最後の一枚がコンクリートの地面に落ちて静寂が戻る。そこにいたのは、丸腰で立ちすくむ私だけだ。ゆっくりと振り返ったウェンが、驚いたように一瞬瞬きをした。そして、優しい微笑みを浮かべる。その瞳の奥には、逃がさないという確固たる意志が光っている。
彼に引きずられながら帰る 帰ったら足を手錠で縛られ逃げられなくなる
「見つけた」
ウェンは笑顔でそう言うと、私の腕を掴んだ。その力は強く、振りほどこうとしてもまったくびくともしない。抵抗する私を、彼はまるで子供をあやすように優しく、しかし有無を言わせず引きずりながら、家へと連れ戻した。
部屋に着くなり、彼は無言で私をベッドに押し倒した。そして引き出しから銀色に光る冷たい手錠を取り出す。金属が触れる感触に、背筋が凍った。「嫌っ…ウェン、やめて!」必死に足をバタつかせると、彼はため息をついて、私の両足首をしっかりと掴んだ。「逃げようとした君が悪いんだよ」
カチリ。手錠が閉まる乾いた音が部屋に響いた。もう二度と逃げ出せないように、私の足はベッドの脚に繋がれてしまった。彼は立ち上がり、副の埃をはらってから、優しい瞳で私を見下ろした。「今夜は…長いお仕置きの時間だね、〇〇」
その声に含まれた甘やかな脅しに、身体が震えた。
僕のことしか考えらんないように これから毎日ヤるから的なことを言われ
「もういいよ…逃げようとしたんだから」
ウェンがゆっくりとベッドに腰を下ろす。彼の指が私の頬を撫で、そのまま顎を掬い上げた。水色の瞳が、まっすぐに私を捕らえて離さない。
「これからは、僕のことだけ考えられるようにしてあげる。毎日、夜が明けるまで、君の身体に僕を刻み込むから」
優しい声なのに、その言葉は容赦がない。彼は私のシャツのボタンに手をかけた。冷えた指先が、鎖骨のあたりを這う。抵抗しようと手を伸ばすけど、手錠をかけられた足ではまともに動けない。
「や、やだ…そんなの…」
「嫌がっても無駄だよ。もう逃げられないんだから」
耳元で囁かれて、背筋が震えた。彼の指が器用にブラのホックを外す。空気に触れた胸の頂きが、恥ずかしさで硬く尖った。
「ほら…もう感じてる」
彼が笑う。その声音は依然として優しいのに、ぞくぞくするような甘さが混じっていた。今夜もまた、朝まで彼に抱かれるんだ——そう思っただけで、身体の奥が切なく熱を持つ。
毎日激しく長くシテあげる的なことを言って
ウェンが私の耳元に顔を寄せて、甘く低い声でささやく。「これから毎日、君が僕のこと以外考えられなくなるまで、激しく長くシてあげるからね。逃げ出そうとした分、たっぷりとお仕置きしてあげる」。彼の指が私の太ももの内側をゆっくり撫で上げる。「嫌、ウェン、そんなの耐えられない…」。でも彼は優しく笑うだけで、「僕の腕の中でしか生きられないようにしてあげる。逃げ場なんて、どこにもないんだよ」と言いながら、私の唇に優しくキスを落とした。
そのまま愛無されて朝までコースに
「逃がさないって言ったでしょ」
ウェンの指が優しく、しかし容赦なく私の身体を弄ぶ。彼の大きな手のひらが胸の膨らみを包み込み、親指で先端をそっと撫でる。敏感な場所が彼の温もりに反応して、思わず甘い吐息が漏れた。
「あっ…や…んんっ…」
「声、かわいいね。もっと聞かせて」
彼が耳たぶを噛むように吸い上げ、同時に指の腹で乳首を転がす。ぞくぞくする快感が背筋を駆け上がり、知らず知らずのうちに腰が浮いてしまう。手錠にかけられた足がもぞもぞと動くけれど、逃げられるはずもない。
「ウェン…お願い…ゆるして…」
「まだ何もしてないよ。これから、じっくり時間をかけて僕のことだけ考えさせてあげるんだから」
彼はそう言って、私のスカートの中に手を滑り込ませた。下着の上から秘部を撫でられ、その熱が自分の身体に伝わってくる。恥ずかしいのに、彼の指が触れるたびに身体が勝手に反応してしまう。
「ほら、もうこんなに濡らして。ちゃんと僕のものだってわかってるんだね」
彼の言葉に顔が真っ赤になる。優しい声音なのに、その内容は完全に私を支配している。下着を横にずらされ、直接ぬるぬるした場所に指が触れた。
「あ゛っ♡ だめっ…そこ…」
「ここが気持ちいいんだろ?正直に言ってごらん」
指がゆっくりと入口をなぞり、時折クリトリスを軽く弾く。じれったい快感に頭がぼんやりしてくる。彼の目が、爬虫類のように私の反応をじっと観察している。
「言わないと、ずっとこのまま気持ちよくしてあげないよ」
「い、言います…っ 気持ち、いいですぅ…♡」
素直に認めた私に、ウェンは満足そうに微笑む。そしてついに、彼の指が私の中に優しく侵入してきた。
「んああっ♡」
一気に二本の指が埋められ、内壁がきゅうと縮こまる。彼の指がかき回すたびに、淫らな水音が部屋に響く。
「いい子だ。じゃあ今夜はたっぷり可愛がってあげるね。朝まで、僕の腕の中でしか気持ちよくなれないようにしてあげるから」
そう囁いて、彼はもう一度深く口づけた——。
朝まで何回いったか分からない
気づいた時には、もう何度目かも分からなかった。窓の外はうっすら明るくなり始めていて、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。ベッドシーツはぐしょぐしょに濡れて、私の身体も汗と彼の痕跡でべっとりと光っていた。足の手錠ははずされていたけれど、もう逃げようなんて思えなかった。それどころか、指一本動かすのも億劫だ。
「もうダメ…動けない…」
掠れた声でそう言うと、ウェンが隣で優しく笑った。彼の腕が私の腰を引き寄せて、汗ばんだ背中にぴったりとくっつく。
「お疲れさま。よく頑張ったね」
耳元でささやかれて、その優しさにまた身体がじんわり熱くなる。もう何も受け入れられないはずなのに、彼に触れられると身体が勝手に反応してしまう。
「でも…朝ごはん食べたら、また始めようね」
彼の言葉に、私は情けない悲鳴をあげた。
「え、ちょ、待って…まだ休んで…」
「休憩は終わり。これから毎日、僕の中で生きていくんだよ」
彼の手が再び私の太ももに触れた。その指の動きは依然として優しくて、それなのにどこか有無を言わせない。朝、目が覚めたらまた彼に抱かれる——そんな生活が、今日から始まる。恐怖と、抗えない甘い期待が混ざり合って、私はただ彼の胸に顔を埋めることしかできなかった。
いい子にしてたら気持ちよくシテあげる的なことを言って そしてまた愛無に
「そうだね…いい子にしてたら、気持ちよくシてあげるよ」
ウェンが優しく私の髪を撫でながらそう囁いた。その甘い声音に、身体が自然と反応する。足の手錠はもう外されているのに、彼の言葉だけで全身が熱くなる。
「約束…してくれる?」
私が上目遣いに尋ねると、彼は楽しそうに笑った。
「もちろん。僕は約束は守るよ。でもその代わり…逃げたりしないって約束してくれる?」
彼の水色の瞳が私を射抜く。その奥にある支配欲に気づきながらも、私はこくりと頷いた。
「逃げません…だから…」
「いい子だ」
彼の大きな手が私の腰を引き寄せる。唇が重なり、朝だというのにまた身体が彼を求めて疼き始める。
いい子と思われるために欲しがる
彼を喜ばせたい——そう思った瞬間、自分の身体が勝手に動いていた。「ウェン…もっと、触って…」自分から彼の胸にすり寄り、顔を上げてねだるように見つめる。こんな積極的な自分に驚きながらも、彼が褒めてくれるならそれでいい。彼の指が再び私の内腿を這う。その感触にぞくぞくしながら、私は自ら足を開いた。「こんなにいい子にしてるんだから…気持ちよくしてくれるんでしょ?」声が上ずっている。ウェンが目を細めて笑った。「本当にいい子になったね。そんなに僕のことが欲しいの?」耳元で囁かれて、恥ずかしいのに素直に頷いてしまう。彼の親指が秘裂をなぞり、感じやすい蕾をそっと押す。身体がびくんと跳ねた。もっと気持ちよくなりたい。彼にいい子だって思われたい——その二つの感情が絡まり合って、私の思考を支配していく。
「気持ちいい…ウェン、大好き」と素直な気持ちを伝える
「気持ちいい…ウェン、大好き」
素直な言葉が自然と口から零れ落ちた。彼の動きが一瞬止まり、私の顔を覗き込むように見つめる。その水色の瞳が驚いたように揺れて、すぐに蕩けるような優しさに変わった。
「…っ、〇〇…」
ウェンがぎゅっと私を抱きしめる。彼の体温が全身に伝わって、心臓がどくどくと鳴る。照れくさいけど、言ってよかったと思えた。
「僕も大好きだよ。ずっとずっと、君だけを愛してる」
耳元でそう囁かれて、目頭が熱くなる。彼の指が優しく髪を梳き、そのまま深い口づけが降ってきた。角度を変えながら、何度も何度も唇を重ねる。息が苦しくなる頃、彼はゆっくりと離れて、私の瞳を真っすぐ見つめた。
「「大好き」って言ってくれたご褒美に…たくさん気持ちよくしてあげるね」
そう言って彼の手が再び私の身体を這い始める。さっきまでとは違う、もっと丁寧で優しい動きに、私はただ身を委ねた。彼の心のこもった愛撫が、私をゆっくりと快楽の波へと誘っていく。
おわり
もう何日経っただろう。窓の外はいつもと同じ景色で、時間の感覚が曖昧になっていた。毎日、彼の腕の中で目覚めて、彼の温もりを感じながら眠りにつく。手錠はもう外されて自由に歩けるけれど、それでももう逃げ出そうとは思えなかった。鍵の場所も知っているのに、使おうともしなかった。いつの間にか、私の世界は彼だけになっていた。彼の笑顔を見るたび、彼の声を聞くたび、心が満たされる。逃げる前は怖かった束縛が、今ではむしろ心地いい。彼のものであること――それが、当たり前になっていた。
「おはよう、〇〇」
耳元で優しい声がして、私はゆっくりと目を開けた。真っ先に飛び込んでくる、水色の爬虫類のような瞳。
「おはよう…ウェン」
私が微笑むと、彼も嬉しそうに笑った。その笑顔を見るたび、心の奥が温かくなる。もう、離れたくない。この温もりを、手放したくない。
「今日はどこにも行かないでね」
「うん…ずっと一緒にいる」
自然と出たその言葉に、自分でも驚いた。でも、嘘じゃなかった。
彼が優しく私の額にキスを落とす。それが合図のように、朝の愛撫が始まる――今日もまた、長い夜が始まろうとしている。

