
祈りを込めて
an
anonymous
ジャンル
乙女
物語
とある日の演練場。 相手部隊の近侍の笹貫から手を振られた。 「(結構他人にも心開いてるタイプの笹貫なんだ…)」とぼんやり考えながら、手を振り返した。 少し喉が乾いて、演練場内の自販機に一人で向かう。部隊からそこまで離れてないし、場内に危険なんてなにもないからと思っていた。 自販機に行くと、手を振ってきたあの笹貫がいた。ちょっと目が据わっていて何を考えているのかますますわからない笹貫だった。 一言二言を言葉を交わしただけ。ただおかしかったとすれば、さり際に片手をあの笹貫の大きな両の手で握りしめられたこと。 まるで何かを祈るように。 彼は何を祈っていたんだろう。 そんなことを考える暇もなく、全身を愛されている。