トークン
ジャンル
女性向け
物語
四つ子の一人・三風のクラスに、美少女の転校生・日吉田ゆりがやってくる。 誰もが見惚れるほどの美貌と完璧な笑顔を持つゆりだったが、その裏では三風に対して強い嫌悪感を抱いていた。 転校初日から、三風と仲の良い港に急接近するゆり。距離感の近い態度で港を翻弄しながら、少しずつ周囲の視線を味方につけていく。 そんな中、階段で起きた事故をきっかけに、なぜか三風へ疑いの目が向けられてしまう。戸惑う三風をよそに、ゆりは保健室で港の本心を探り始める。 果たしてゆりの本当の目的とは何なのか。 そして、港と三風の関係はどうなってしまうのか――。 美少女転校生の登場によって始まる、四つ子姉妹と学園を巻き込んだ波乱の物語。
シナリオ
第1章 転校生
「席につけー、転校生を紹介するぞ~」
担任ののんびりとした声が教室に響いた。
三風は顔を上げる。
転校生。
それだけで教室中がざわつき始める。
「イケメンかなあ?」
「噂じゃすっごく美女らしいよ!」
期待に満ちた声が飛び交う中、教室の扉が開いた。
「失礼します」
入ってきた少女を見た瞬間、教室が静まり返る。
誰もが息を呑んだ。
長い髪。整った顔立ち。凛とした雰囲気。
まるでモデルのような美少女だった。
「日吉田ゆりです。よろしくお願いします」
簡潔な自己紹介。
それだけなのに、周囲からため息が漏れる。
「すすすすっごい美人さんだね……!!」
隣のういなが興奮気味に囁く。
三風も思わず頷いた。
(綺麗な子だなあ……)
「席は野町の隣な」
そう言われたゆりは、港の隣へ腰を下ろした。
「よろしくね! おれ、野町港!」
港がいつものように人懐っこく話しかける。
「よろしくね」
柔らかな笑顔。
その瞬間、教室の空気がさらに華やいだ気がした。
けれど三風は気付かなかった。
その笑顔の裏に隠された本心を。
◇
休み時間。
「なんかあの子、変じゃない?」
ういなが机を寄せる。
「三風ちゃんにしか興味ないみたいな感じだったし……」
「そうかな?」
三風は首を傾げた。
「まあ四つ子なんて珍しいもんね」
その会話を聞きながら、ゆりは内心で呆れていた。
(自分で言うのね……)
そこへ港が声をかける。
「次は音楽だから移動教室だね。日吉田さん場所わかる?」
「わからないわ……港くん教えてくれる?」
そう言うと、ゆりは自然な動作で港の腕に身体を寄せた。
「えっ!?」
港の顔が一瞬で赤くなる。
「ちょ、ちょっと距離近くない……?」
「そう?」
首を傾げるゆり。
その様子はあまりにも自然だった。
「あの子港くん狙ってるんじゃ……」
ういなが小声で呟く。
「ま、まさかぁ……」
そう答えながらも、三風の胸は少しだけざわついていた。
「港くんも、ゆりって呼んでよ」
「えっ?」
「だめ?」
「い、いや……わかった。ゆり」
「うふふ」
満足そうに笑うゆり。
周囲の男子たちは騒然としていた。
「あいつ呼び捨てにしやがった……!」
「羨ましい……!」
(ゆりさんの大きいなあ)
そんな視線を浴びながら、港は困ったように頭を掻くのだった。
◇
昼休み。
三風たちが廊下で話していると、姉の二鳥たちがやって来た。
「やっほー! 転校生どこー?」
「二鳥ちゃん!」
「すごく美人だって聞いたんだけど!」
「噂じゃファンクラブまであるそうですよ」
その時。
ちょうどゆりが教室から出てきた。
「どいてくれる?」
冷たい声。
「えああ、すまんすまん!」
慌てて避けた二鳥は、思わずゆりの胸元を見た。
「って姉ちゃん、おっぱいおっき……」
「二鳥!」
一花が慌てて止める。
ゆりの眉がぴくりと動いた。
だが次の瞬間には完璧な笑顔が浮かんでいた。
「ああ、お姉さん達ね」
「私は一花です」
「よろしくね」
表面上は完璧だった。
けれどその瞳だけはどこか冷たい。
まるで品定めをするように、四つ子の姉妹たちを見ていた。
◇
五時間目への移動中。
「港くん! 一緒に行きましょう」
当然のように港の隣を歩くゆり。
「あっ……」
三風は思わず立ち止まった。
一花が小さく耳打ちする。
「修羅場ね……」
「ええっ!?」
「後で協力するから今は我慢!」
そんな会話をしていた時だった。
「ゆりちゃん待って!」
三風が追いかけようとした瞬間。
「きゃっ!!」
短い悲鳴。
そして。
ドサッ!!
激しい音が廊下に響く。
「えっ?」
気付いた時には、ゆりが階段の下に倒れていた。
「ゆり!」
港が駆け寄る。
周囲が騒然となる。
「今、三風さんが押さなかった?」
誰かが言った。
「私も見たかも……」
別の誰かが続く。
「違う……!」
三風は青ざめた。
「私、そんなつもりじゃ……!」
けれど誰も聞いてくれない。
ゆりは苦しそうな顔を浮かべていた。
「痛っ……」
その姿を見た港は決断する。
「ゆり、我慢して!」
ふわり。
港はゆりを抱き上げた。
お姫様抱っこだった。
「ありがとう……」
ゆりはか細く微笑む。
その様子を見ながら、三風はただ立ち尽くしていた。
まるで自分だけが取り残されたような気持ちのまま。
◇
保健室。
幸い大きな怪我はないようだった。
だが保健室には誰もいない。ゆりと港とふたりっきりだった。
「先生いないのか……」
港が包帯を探していると。
「港くん」
ゆりが呼んだ。
「ん?」
「港くんってさ」
真っ直ぐな視線。
逃げ場のない問い。
「三風さんのこと好きなの?」
港は言葉に詰まった。
「えっ?」
「好きなの?」
重ねられる質問。
港はしばらく黙り込む。
そして小さく答えた。
「どうなんだろう」
本音だった。
「大切な友達だとは思ってる」
「ふうん」
ゆりは微笑む。
まるで答え合わせでもするように。
「じゃあさ」
「なに?」
「私を好きになる可能性もあるってことよね?」
港は目を見開いた。
ゆりは妖しく微笑む。
チュ
「ええ!?」
「嫌だった…?」
「いや、そうじゃなくて…!」
「先生いないし。じゃあ続き、する?」
「続きって…、き、キス…の?」
「こう言うこと…」
ゆりは自分のセーラー服のリボンを外し始める。
「な、なんでリボン外してるの…?」
「あれ…まだ習ってないんだ。残念。」
「な、なんのこと?」
「戻ろっか。」