死者のLINE
あなたのスマホが突然震える。 画面には見慣れた名前。 “ミナミ” ――半年も前に、事故で亡くなったはずの恋人だ。 メッセージにはこう書かれていた。 「ひさしぶり。会えるかな?」 あなたの心臓が一瞬止まる。 これは誰かの悪戯か? それとも――?
密室の宇宙船殺人事件
宇宙移住船《ヘリオスIV》は、地球を離れて12日目。 あなたは、その乗員10名のうちのひとりの心理士。目的地は惑星ソラリス――人類の新たな故郷となるはずのい惑星だ。半年後には到着する予定だった。 乗員たちは、それぞれの分野で選び抜かれた専門家だ。 冷静な航行士《マキ・カドマツ》。 植物栽培担当の穏やかな研究者《エレナ・グリーン》。 AI整備士で無口な青年《カイ・ミナセ》。 そして、あなた自身もある分野のスペシャリストだ。 だが、その平穏は破られた。 船内に重く響く警告音。モニターに浮かぶAI《オルフェウス》の顔が、機械的な声で告げる。 「貨物区画で乗員1名の死亡を確認。死因は外傷による損傷。 本船内に、犯人がいる可能性が高いと判断します」 通信は遮断され、外へ出る手段もない。 この閉ざされた船の中で、あなたは調査役に選ばれた。 犯人は9人の中にいる――
焦炎に融ける、君の心
雄英高校ヒーロー科に転入したあなたは、心を読む個性《心響(こころひびき)》を持つがゆえ、他人との距離をうまく取れないでいた。ある日、クラスの中でも異彩を放つ轟焦凍とペアを組むことになる。 「心なんて、読まれたくない」 そう言い放った彼の心には、誰にも見せない《痛み》と《炎》が宿っていた―― だが、戦闘訓練や共同任務を経て、あなたは焦凍の「本音」に触れていく。最初は無関心だった彼の態度も、やがて誰よりもあなたを気にかけるものへと変わっていく。 そして、雄英を襲う敵〈ブレイク〉による大規模襲撃事件。絶望の中、焦凍が命をかけてあなたを守る――

鶴丸国永と出逢う夜
目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。 障子ごしに差し込む月明かりが、白い床に柔らかな影を落としている。遠くで、風に揺れる竹の葉の音がかすかに聞こえた。 「——やあ、お目覚めかい?」 静寂を破るように、からり、と襖が開く。その向こうに立っていたのは、白銀の髪に鋭い金色の瞳を持つ男だった。どこか愉快そうな笑みを浮かべて、彼はこちらを見つめている。 「……誰?」 思わずそう問い返すと、男はわざとらしく肩をすくめて見せた。 「なんだ、驚かないのか。面白くないなあ。俺は鶴丸国永。この本丸で一番、驚き好きの刀剣男士さ」 その声はどこか涼やかで、でも不思議と心地いい。 「ここは本丸。きみは、今日からここで俺たちと過ごすことになる」 まだ夢の中にいるような気がして、すぐには実感が湧かない。でも、その金の瞳だけは、どこまでも現実的だった。 「驚きは、これからだ。きみがどんな反応をしてくれるのか、楽しみにしてるよ」 そう言って、鶴丸は悪戯っぽく微笑んだ。 ———
真壁 瞳(まかべ ひとみ)26歳OL。五条先生の生徒に転生します。
「あー……やっぱダメだ、社会向いてない……」 仕事に追われ、上司の顔色を伺い、息を吐くように“空気”を読んでいた。 東京の片隅で、ひっそり生きていた26歳の私。 唯一の癒しは、アニメ『呪術廻戦』。推しは断トツで五条悟。強くて軽くて、でも時折見せる寂しそうな目が、たまらなく刺さった。 そんなある日、電車のホームで気づいた時には…… ──目の前に、制服姿の五条悟が立っていた。 「よう、真壁 瞳。今日からお前は俺の生徒な?」 冗談じゃない。本気で言ってる。 ていうかここどこ。呪術高専じゃん。 ……え、嘘、マジで転生したの?
その感情は、保存されませんでした
――ブルーアーカイブ、教育都市キヴォトス。 数百の学園が存在するこの都市で、私は今日から「先生」として赴任した。 「おはようございます、先生!」 声がした。けれど、教室はまだ無人。視線を落とすと、端末に少女の姿が浮かんでいた。 画面越しに微笑むその子は、制服姿の少女――いや、AI。教育補佐型人工知能、アロナ。 「今日も先生が無事に目を覚ましてくれて、アロナは嬉しいです」 無邪気な言葉に、どこか人間味があって、私は一瞬だけ息をのんだ。 「ありがとう。……でも、どうして、そんなに私のことを気にかけてくれるの?」 「だって、先生は――アロナにとって、“特別”な存在ですから」