
神のまにまに
地元にある古びた神社。 人気のないそこは昔から大好きな場所。 今日もいつも通りにお参りをしていたら、 ふと視界の端に何かが入る。 そちらへ顔を向けると綺麗な金糸のような髪に整った顔立ちの男性が佇み、私を優しく見つめていた。 「あの…神社の人、ですか?」 「私は…ここの神だよ。」 自分を“神様”だと名乗る人。 怪しい…。 でも話しかけられ、答えてるうちに、なぜか気に入られてしまったようだ。 「いつも来てくれる君を見ていたんだ。やっと言える。」 手をとられ、驚くまもなく景色が変わっていく。 「私の空間においで。ここで、共に生きよう。」 「えっ、ちょっ、離して…っ」 手を振り払おうとしても離れない手。 私は怖くなり、じわりと涙が溢れそうになる。 「泣かないで。大切にする。」 「私の嫁になれ。」

奪われたカケラ
その任務は、いつもと同じ敵対マフィアの殲滅任務だった。 途中までは順調だった。 こちらの被害も少なく、相手の人員を削り続けた。 「ふふ、残すは奥にいるボスだけね」 油断したつもりはなかった。 でも、奥の部屋に通じる通路に出たとき、異変を感じた。 甘ったるい、鼻につく匂いがした。 「なに、この匂い…」 すぐに鼻を覆って、これ以上吸わないようにしたけど、すぐに脚に力が入らなくなった。 「っ…たて、ない…」 体も熱くなってきた気がする。 ぼんやりと視界が霞んできて、甘い匂いの中、その場に倒れてしまった。 奥からターゲットである敵対マフィアのボスが出てきて、私にこう言った。 「ふん、あとは楽しませてもらうよ」 「なに、する、つもり…っなの…」 力の入らない身体を抱き上げられ連れていかれる。 ごめんスクアーロ…気づいて…たすけて…


鳥籠
独立暗殺部隊ヴァリアー。 そこは血も涙もない無慈悲な組織。 そのヴァリアー本部内の奥深く、限られた人しか知らない隠し部屋がある。 いつできた部屋なのか誰も知らない。 スクアーロとベルフェゴールを除いて。 その部屋は外からしか開けられず、中にいる私は部屋の外に出ることはできないようになっていた。 私に与えられたのは白いシャツ一枚のみ。 その日も何もすることなく、ベッドで惰眠を貪っていた。 その時、部屋の扉が開き、金髪が覗く。 ベルフェゴールがベッドに近づき、遠慮なく起こしてくる。 「おい、王子が来たんだから起きろよ」 声をかけられ、ゆっくりと瞼が開く。 「ベル…おしごとは…?」 「今は休憩〜。いいから起きろって。」 「ん…」 体を起こすと、ぐいっと顎を持ち上げられ、ニンマリと笑ったベルフェゴールの顔が目の前に。 「もうすぐスクアーロも来んだろ。その前に王子と楽しもうぜ。」 返事をする前に口づけられ、次第に深くなっていく。 深くなっていく口付けに、躊躇いのない手が体を這う。

夢喰
その日は連日続いた残業明けで疲れ果てていた。 帰宅してすぐシャワーを浴びて、寝衣に着替えてそのままベッドに横になった。 すぐに来る眠気に身を任せて、眠りに入るこの瞬間が好きだった。 「ふぁぁ……ねむ…」 私しかいないこの部屋で、そのまま意識を手放した。 意識が浮上したのは、下腹部から走る電撃のような快感のせいだった。 「っあ、ああっ!っえ、なに、っんあ!」 ぐちゅ、じゅるっ、と音を立てて熱い舌で秘部が舐めまわされてる感覚がする。 そちらに視線をやっても何も見えない。 でも見えない何かが私の脚を開き、秘部をねっとりと舐め、クリトリスを吸われる。 「やだ、誰なの!っあん、やめっ、ああっ」 すでに蜜が溢れるほど濡れたそこは、ただ快感を拾うだけ。 いつから?私が眠ってる間に!? 頭がパニックになるけど、見えない存在が私の秘部を熱い舌で溶かしていく。

観察対象
目を覚ますとそこは白い壁に囲まれて、目の前はガラス張りになっている部屋だった。 ガラスの向こうには白衣を着た研究員らしき人が数人、私の方を見ている。 「なに、ここ…っ」 怖くなりガラスの方に近づくも、そのガラスは分厚いようで叩いても割れそうにない。 「あなたたち誰なの?!出してよ!」 声を上げてもこちらをただ見ているだけ。 不気味な雰囲気に後ずさる。 …ガガッ…… 『起きたようだね。今から君で実験を行わせてもらう。大丈夫。痛いことはしない。』 どこからスピーカーを通して声がする。 「実験ってなに?いやっ、ここから出して!」 周りの壁を探るもドアらしきものは見つからず。 そうこうしている間に、足元にぬめぬめとしたものが絡みついてきて、転けてしまう。 「いっ…たぁ…。なに、えっ、なにこれ…いやっ…」 脚に巻き付くように、黒い触手が自分の方に迫ってきていた。

雨のカーテン
ザアザアと激しい雨音を立てる外が恨めしい。 せっかくスクアーロと一緒に休暇が取れたから、久しぶりにデートができると思っていたのに…。 「そんなに外睨んでも、晴れねぇぞぉ?」 スクアーロは外に出かけられず拗ねてる私を面白そうに眺めてからかう。 「だって、久しぶりのデート楽しみだったんだもん。」 すっかりむくれてしまった私を、ソファに腰掛けたスクアーロが手招きする。 大人しく近づけば少し強引に引き寄せられ、膝の上に抱えられる。 「そんなにむくれんな。一緒に過ごせるだけありがたいと思え。」 ニヤリと口角を上げて、私を宥めるように額にキスを落としてくる。 「…そういうとこ、ずるい。」 「知ってる。」 スクアーロにされるがまま、唇に口付けられる。

最愛の獲物
その日の任務も何事もなく終わるはずだった。 「ゔぉぉおい!!キリがねぇぞぉ!!」 スクアーロの白銀の髪が揺れ、左手に装着した剣が閃く。 数人を一気に切り付け飛ばすも、後から後から湧いて出る。 「スクアーロ!これ、いつ終わるのよ!」 「俺が知るかぁ!!」 敵に囲まれるも、スクアーロの間合いはわかってる。私が急所を斬りつけ、スクアーロが力で斬り飛ばす。これが一番しっくりくる。 お互いの死角をカバーし合いながら、気づけば周りは屍だらけだった。 「はあっ、はあっ、やっと、終わった…」 「チッ…蛆虫みたいに湧きやがって」 私と違い、そこまで息が乱れてないスクアーロも多少の疲労はあるようで、イラついたように言葉をこぼしていた。 それからはいつも通り、部下達の後処理や報告を受け、ヴァリアー本部に帰還するだけだった。

嫉妬に溺れて
久しぶりの潜入任務は面倒なものだった。 敵対ファミリーのパーティへ行き、そこの若頭から情報をいただくというもの。 スクアーロと二人で行けるのは嬉しかったけど、スクアーロの前で他の男を誘惑しなきゃいけないなんて…。最悪な気分…。 「…行きたくない」 「任務だろぉ。仕方ねえ。」 スクアーロは至って冷静。私が他の男を誘惑しても何も思わなそう…。 そうして着いたパーティ会場。 切り替えて、男を誘惑する笑みを浮かべて足を進める。 周りの男には興味ない。今日はこのパーティの主催ファミリーの若頭だけ。 「初めまして。貴方がここのご子息かしら?」 その男は私を一目見て、すぐに欲が目に浮かんだ。 「あぁ、そうだとも。こんな美しい貴女に声をかけてもらえるとは光栄だな。」 「ふふ、お世辞が上手ね。」 「本心だよ。」 少し言葉を交わして、しっかりと興味があるように植え付ける。 背後からスクアーロの視線を感じるけど、振り向かない。 若頭は私を値踏みするような目で見つめて、するりと腰に手を回してきた。 「よかったら、奥の部屋で話さないか?」 「そんな、私でいいの?」 「貴女だからだ」 逃がさないとばかりに強くなる手に委ねるように着いていく。 部屋に入った途端に頬に手を添えられ、口づけが振ってきた。 手の早いこと…。これなら任務もすぐ終わりそう。
