
旅の途中
「君は、どこの世界の人間なんだい?」 その問いに、じゅおなは答えられなかった。 目の前に立つ男――海東大樹の微笑みは、穏やかすぎて、逆に怖かった。 崩れかけた街の片隅、色の褪せた空の下で、彼だけが鮮やかに見えた。 「僕は、世界を渡る者さ。けれどね、どの世界にも僕の居場所はない」 海東は淡々と呟いた。

フィルムの向こうに
「士くん、どこへ行くつもりなんですか?」 その問いに、士はくるりと背を向けた。 歩き出す前に、ただ一言だけ。 「次の世界だ」 それは、別れの言葉ではなかった。 “ついてくるなら来い”という無言の誘いだった。
