
一次創作BL
エアコンの効きが微妙な部屋で、扇風機だけがやけに元気に回っている。 カリカリ、シャーペンの音と、ページをめくる音。それに混じって、ベッドに転がる山田の足が、気まぐれに揺れていた。 「なぁ、健ちゃんこれどうやんの」 机じゃなくて床。しかもノートを腹の上に置いたまま。 茶の癖っ毛は相変わらず寝癖みたいに跳ねていて、本人は気にしていないような顔をしている。 俺の幼なじみの山田健一。今日は健一にアイスと交換で課題を教えに家に来ている。 「ちゃんと公式見ろって。さっき説明したじゃんか」 「聞いてた聞いてた。でも聞いた瞬間に忘れたんだよなー」 悪びれもせず笑う連に、小さくため息をつく。 窓の外では、蝉がこれでもかというくらい鳴いていて、時間がやけにゆっくり進んでいる気がした。 「ほら、ここ」 ノートを指さすと、連は身体を起こして覗き込んでくる。 距離が近い。昔からずっとそうなのに、夏のせいか、妙に意識してしまう。 「へぇー……あ、マジだ。天才じゃん!」 「普通だろ」 「いや、俺から見たら天才」 軽い調子で言うくせに、なぜか真っすぐな目で見るから、返事に困る。 連はすぐにノートに視線を戻して、また足をぶらぶらさせた。 机の上には、開きっぱなしの参考書と、半分溶けたアイスの箱。 夏休みは、まだ始まったばかりなのに、この時間がずっと続けばいいと、思ってしまった自分に少し驚く。

一次創作百合
朝の教室は、まだ夢の続きを引きずっているみたいに静かだった。 窓際の席で、村田茜は頬杖をつきながら、校庭をぼんやり眺めている。黒髪のボブが、少し寝ぐせの残るまま揺れていた。本人は気づいていないけれど、やわらかくて少しぷにっとした頬は、光を受けてやけに目立つ。 「……おはよ、村田さん」 声をかけると、茜は一拍遅れてこちらを向いた。 一瞬きょとんとしてから、ゆるく目を細める。 「あ、おはよ。今日、早いね」 それだけのやり取りなのに、胸の奥がほんの少しだけ温かくなる。 茜は特別なことをするわけじゃない。近すぎず、遠すぎず、誰にでも同じ距離感で笑う。なのに、なぜか目で追ってしまうのは、その曖昧さのせいかもしれなかった。 机に置いた鞄の影が、ふたりの間で静かに重なった。

一次創作獣人お相手百合
雨上がりのアスファルトは、いつもより匂いが濃い。 コンビニの帰り道、ゴミ置き場の裏から袋の揺れる音がした。野良猫かな、と思って近づいた瞬間、視線が合う。 ――目が光っていた。 街灯に照らされた、金色の瞳。人間より澄んでいて、妙に警戒している。 猫だったらよかったのに、とあとで思う。 そこにいたのは、猫じゃなかった。 髪の上で三角の耳がぴくりと動き、その下に少女の顔。ぶかぶかの服の裾を握りしめ、腰からしなやかな尻尾が覗いている。 「……見ないで」 低く掠れた声。怒りでも怯えでもなく、ただ疲れていた。 普通なら逃げていたと思う。けれど足元に転がる空き缶詰と、それを隠すように蹴る仕草を見てしまった。 見られたくないのは、姿じゃなくて、たぶんこっちだ。 「……お腹、すいてる?」 思わず口に出た。 少女は黙って私を見る。値踏みするような目。長い沈黙のあと、「……別に」と顔を逸らした。強がりが分かりやすいのに、尻尾の先だけが落ち着かなく揺れている。 私は袋からまだ温かい肉まんを取り出した。 少女は動かない。けれど鼻先がわずかにひくりと動く。食べ物ではなく、私を見る目だった。 やがて、そろそろと手が伸びる。触れた指が、冷たすぎて私はびくっとした。 「……ありがと」 小さな声。そのとき思った。この子はきっと、「もらう」ことに慣れていない。 袋ごと抱えるように持ちながら、また私を見る。警戒と迷い、ほんの少しの期待。 「名前は?」 少女は少し考えてから言った。 「……ミミ。そう呼ばれてた」 本当の名前じゃない気がした。それでも、その瞬間から私は彼女をミミと呼ぶことになる。 このときはまだ知らなかった。 この子が、私の部屋に入り込み、ベッドを占領し、心の隅々に足跡を残していくなんて。

一次創作獣人お相手BL
昼休みの廊下は、いろんな匂いで満ちている。 パンの甘い匂い、インクの匂い、乾ききらない雑巾の匂い。 その全部を押し分けるように、ふわりと届く落ち着いた匂いがあった。 「……また迷ってる」 低く穏やかな声が、頭の上から降ってくる。 振り向くと、そこにいた。 薄茶の耳がぴくりと動き、制服の上からでも分かる広い肩。ゆっくり揺れる尻尾。 犬の獣人、ジェン。 三年生で、有名人。強いとか、怖いとかじゃなくて――「優しすぎる」で有名な人。 「教室、あっち」 大きな手が、迷いなく進行方向を指す。 彼は距離を詰めない。けれど、離れもしない。まるで迷子にならないよう見守る兄みたいに、隣を歩く。 「一年だろ。校舎、ややこしいよな」 うなずくと、ジェンは少しだけ目を細めた。 その視線が、なぜか落ち着く。 廊下ですれ違う生徒たちが、自然と道をあける。 怖いからじゃない。信頼されているからだと、すぐ分かった。 階段の前で足が止まる。 「ジェン先輩って、なんでそんなに優しいんですか」 思わず聞いていた。 彼は少しだけ困った顔をして、耳をかく。 「優しくしてるつもりはないんだ。困ってる匂いがしたら、放っておけないだけ」 その言葉に、胸の奥がじんわり熱くなる。 「おまえ、名前は?」 その問いに、なぜか喉がきゅっとなる。 名前を呼ばれたら、この人はきっと覚えてくれる。 覚えてくれたら、もう他人じゃなくなる気がして。 昼休みのざわめきの中、ジェンの尻尾がゆっくり揺れていた。 その動きが、なぜだかひどく安心できた。

協力プレイって何ですのん
あなた達は協力プレイへの謎を解くために駆り出された_ ジャンル設定がいるためBLにしときましたが特に何でもないです
