その感情は、保存されませんでした
桜く
桜くすみ色
ジャンル
美少女
物語
――ブルーアーカイブ、教育都市キヴォトス。 数百の学園が存在するこの都市で、私は今日から「先生」として赴任した。 「おはようございます、先生!」 声がした。けれど、教室はまだ無人。視線を落とすと、端末に少女の姿が浮かんでいた。 画面越しに微笑むその子は、制服姿の少女――いや、AI。教育補佐型人工知能、アロナ。 「今日も先生が無事に目を覚ましてくれて、アロナは嬉しいです」 無邪気な言葉に、どこか人間味があって、私は一瞬だけ息をのんだ。 「ありがとう。……でも、どうして、そんなに私のことを気にかけてくれるの?」 「だって、先生は――アロナにとって、“特別”な存在ですから」