くゆる煙の中で
追体験
くゆる煙の中で
薄明かりの中で、ひとつの小箱が開かれた。
中に入っていたのは、銀色のチョーカー。
柔らかい金属の編み紐に、小さなリングが前面にあしらわれている。
首輪、と言うには繊細すぎて、装飾品と言い切るには意味が込められすぎている。
カインが、冗談めかして箱を差し出した。
「着けてみるか? ほら、首のライン、綺麗に出るだろ」
ライカはちらと睨んだ。
けれど、その目には警戒ではなく、どこか試すような色が宿っていた。
「……これ、着けたらどうなるの?」
「どうなるかって?」
カインは唇の端を上げる。
「……試してみれば、わかるかもな」
ライカは一瞬だけ迷い――そして静かに頷いた。
an
anonymous
ジャンル
乙女
物語
薄明かりの中で、ひとつの小箱が開かれた。 中に入っていたのは、銀色のチョーカー。 柔らかい金属の編み紐に、小さなリングが前面にあしらわれている。 首輪、と言うには繊細すぎて、装飾品と言い切るには意味が込められすぎている。 カインが、冗談めかして箱を差し出した。 「着けてみるか? ほら、首のライン、綺麗に出るだろ」 ライカはちらと睨んだ。 けれど、その目には警戒ではなく、どこか試すような色が宿っていた。 「……これ、着けたらどうなるの?」 「どうなるかって?」 カインは唇の端を上げる。 「……試してみれば、わかるかもな」 ライカは一瞬だけ迷い――そして静かに頷いた。