記憶は無くとも細胞が覚えている
an
anonymous
ジャンル
乙女
物語
「何でこうなっちゃったんだろ…」と彼女は呟き、チラリと幼くなった鐵腸を見た。いつもなら鐵腸は彼女より一回り大きいはずなのに、今は彼女より小さい。小学生くらいの体格になっている。 彼女はため息をつきながら、先程のことを思い出す。 「敵の異能で鐵腸が幼児になってしもうた。」と輝子さんが唐突に言い出した。 隣にはいつもの数倍小さくなった鐵腸がいた。幼児化したせいで隊服がダボダボになっている。鐵腸は幼くとも相変わらず無表情だ。 「ちなみにその敵は捕まっておるから安心せい!しかしこの異能、数日経たなければ元に戻らんらしい。誰か元に戻るまで鐵腸を引き取ってくれ。」と輝子さんは続けた。 「私はできればやりたくない…というかめちゃくちゃやりたくない。」と彼女は目線を逸らしていた。しかし何故か幼い鐵腸はこちらに向かってきた。 彼女は面倒だと思い、違う場所に移動しようとした。しかし、鐵腸はひよこのように彼女の後ろをずっとついてくる。 「ひっ…、な、何でついてくるんですか!」と彼女は言った。 輝子さんは笑いながら、「随分と気に入られてしもうたようじゃな〇〇!よし、〇〇が鐵腸の面倒を見てやれ!これて決定じゃ!」と押し切った。 というわけで、現在に至る。仕事を終え片付けをしている彼女の隣に大人しく鐵腸は座っている。