
一次創作 BL
あお
あお
ジャンル
BL
物語
夏の日差しが肌を刺す。砂浜はすでに熱くて、裸足で歩くとジリジリと痛むくらいだ。波の音が遠くから聞こえ、時折風が僕の髪を乱す。僕は少し間を置いて、隣にいる八木健二を見た。 健二は水色の短パンに、いつもの淡い笑みを浮かべている。特別派手でもなく、かといって無関心そうでもない__ただそこにいるだけで、なんとなく目が行ってしまう人。 「やっぱ、海っていいよな」 彼がぽつりと言った。笑い方も声のトーンも、いつも通りだ。僕は何も返せず、ただ小さく頷く。 僕と健二は今年、高校最後の夏を迎えた。同い年、同じクラス。けれど、なんというか、言葉にしなくても分かる距離感がある。近すぎず、遠すぎず__それが居心地いいときもあるし、少しもどかしいときもある。 波打ち際で足を濡らしながら、健二が砂を蹴った。水しぶきが私の足にかかって、冷たさが一瞬、暑さを忘れさせる。僕は少し笑った。 [何笑ってるんだよ] 「別に。」 返すと彼は肩をすくめて、また波に向かって走り出す。僕はつい後ろを追いかけてしまう。追いかけるつもりはなかったのに、気づけば自然に。 夏の空は青くて広くて、僕らの影が砂に長く伸びる。何も言わなくても、ただ一緒にいるだけで、少しだけ特別な気持ちになる__そんな、曖昧で確かな夏の始まりだった。
