トークン

ジャンル
BL
物語
遠い未来。 18歳の青年は、とある事故によって致命的な重傷を負う。 命を繋ぐ方法はただ一つ 意識を機械の身体へ移植することだった。 その処置を行ったのは、28歳の若き博士。 最先端の技術によって青年の意識はロボットの身体へと移され、彼は一命を取り留めるが、博士の胸には、拭いきれない思いが残っていた。 本当にこれが、この子のためだったのか。 人間としての体を失わせてまで、生かすことが正しい選択だったのか――。 そんな葛藤を抱えながらも、行き場を失った青年の願いを受け入れ、博士は彼を自分のもとで引き取ることになる。 機械の身体になった青年は、研究所で暮らしながら博士の手伝いをするようになる。 そしていつしか、彼は博士へ密かな想いを抱くようになっていく。 罪悪感を抱えた博士と、機械の身体で生きる青年。 二人の奇妙な同居生活が、静かに始まる。 夢主(青年)のお名前はお任せで。 博士の名前も特に決めてないです。 完全に自分の癖詰め合わせた自己満ストーリーですがよければやってみてください。 受けでも攻めでもいけるかと。誤字脱字あればすみません、
シナリオ
研究棟の窓の外には、夜でも消えない人工の光が広がっていた。都市は何百階もの高さで重なり、空を埋めるように光っている。けれど、この部屋の中だけは妙に静かだった。
「……起動、確認」
低く落ち着いた声が、すぐそばで聞こえる。
視界がゆっくりと開いた。最初に見えたのは、白衣の襟元と、その奥にある無精ひげの影。少し疲れた目をした男が、こちらを覗き込んでいる。
「……聞こえるか」
青年は口を開こうとして、少しだけ遅れて声が出た。
「……はい、博士」
声はちゃんと自分のもののはずなのに、どこか金属の箱の中で響くみたいだった。胸の奥が、きゅっと不思議な感じに締めつけられる。
博士――十年前から天才と呼ばれている男、十歳年上の研究者。
彼は一瞬だけ安心したような顔をしたが、すぐに目を逸らした。
「無理に動くな。まだ調整中だ」
そう言いながら、手元の端末を操作する。冷たい光が、青年の体を静かにスキャンしていく。
青年はゆっくり自分の手を持ち上げた。
白く滑らかな指。関節の動きは人間そっくりだけど、皮膚の下にあるのは骨でも血でもない。精密な機構と回路。
――ロボットの体。
あの事故のあと、自分の意識をこの体に移したのが博士だった。
「……博士」
呼ぶと、男は少しだけ肩を揺らした。
「どうした」
「助けてくれて、ありがとうございました」
ほんの一瞬、研究室の空気が止まる。
博士は、困ったように眉を寄せた。
「礼を言う必要はない。……あれは、俺の判断だ」
その声には、どこか重たい響きがあった。
まるで、救ったことを後悔しているみたいに。
青年は少しだけ笑う。
体は機械なのに、不思議と胸の奥は前と同じだった。
この人の声を聞くと、安心する。
この人が近くにいると、嬉しい。
――たぶん、事故の前から。
「これからは、ここで暮らすことになる」
博士は机から視線を外さないまま言った。
「生活補助と簡単な研究助手くらいなら出来るはずだ。……俺が面倒を見る」
ぶっきらぼうな言い方だった。
けれど青年は、知っている。
この人は本当は、とても優しい。
「はい」
青年は少しだけ背筋を伸ばす。
「いっぱいお手伝いしますね、博士」
博士は返事をしなかった。
ただ、ほんの少しだけ――困ったようにため息をついた。
その横顔を見ながら、青年はそっと思う。
この体でもいい。
ここにいられるなら。
博士のそばに、ずっと。
まだコメントはありません